EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ

「これ……食べられません。…カビてます」

「カビてる?そっか、カビてたら食べれないのか」

とっくの昔に賞味期限が切れてカビが生えてしまったパンを平然と渡してきた静理に、小鳥は冷や汗をかいた。


(皆さんの食事は人間の血液。なら…)


「あの…静理さん」

「ん?」

「このお屋敷に…台所ってありますか?」

「んー。あるにはあるけれど……あれは台所というよりも屠殺部屋かな。人間が想像するような台所ではないね。たぶん」


(やっぱり…!)


あの食事からして、彼らに料理という概念はないだろう。

「あの、一つ我が儘言っていいですか…?」

「何かな?」

「人間用の台所がほしいです」


切実に訴えたら、なんとも綺麗な微笑が返ってきた。


「わかった。小鳥ちゃんが食事を作る専用の台所を手配してあげるよ」

「あっ…ありがとうございます!」


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