EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ
ルカの怒鳴り声と同時に白魔のナイフが飛んだ。
ルカと氷河に向けられた二本のナイフはそれぞれを仕留め損ねたが、長男の苛立ちをわからせるには充分だった。
「ああ~…うるさいし眠いしイライラする。僕のプリマドンナだよ?僕が殺すに決まってるでしょ。勝手に自殺とか強制しないでよ。ムカつくな」
「やるか?相手になるが」
氷河が腰に下げている日本刀に手を掛ける。
が、刀が抜かれる前に細い腕が氷河の腕に抱き着いた。
「待って下さい!ストップです氷河さま!」
「月那!?放せ!」
「嫌です!氷河さまは間違ってます!氷河さまが人間を憎む気持ちはわかりますけど、小鳥ちゃんを死なせようとするのはヒドイです!こんなの……殺されるよりも残酷です」
「月那…」
俯いて涙声になる月那の肩を氷河がそっと抱く。
そんな二人を見て小鳥は氷河に向き直った。