EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ
「氷河さん。まだ言ってませんでした」
「…なんだ」
「助けてくれて、ありがとうございました」
小鳥がペこりと頭を下げると、氷河は驚いたらしく目を見開いた。
「氷河さん達が動いてくれたから、誘拐犯に捕まったのに私はこうして無事なんです。本当にありがとうございました」
目と目を合わせて微笑めば、氷河も苦笑気味に笑う。
「……全くな…。本来、俺達は人間相手に戦いこそすれ、助けることなどしないんだが」
「野薔薇さんが言ってました。闇人に善人悪人がいるみたいに、人間にだって善い人悪い人がいるって」
「だからなんだ。自分は善人だとでも言いたいのか?」
嘲るように笑い、腕を組む氷河。
小鳥は怒ることもなく、ただ首を横に振った。
「違います。そんなつもりないです。ただ…氷河さん達を……闇人を裏切らない人間でありたいとは思います」