EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ

「氷河さん。まだ言ってませんでした」

「…なんだ」

「助けてくれて、ありがとうございました」

小鳥がペこりと頭を下げると、氷河は驚いたらしく目を見開いた。

「氷河さん達が動いてくれたから、誘拐犯に捕まったのに私はこうして無事なんです。本当にありがとうございました」

目と目を合わせて微笑めば、氷河も苦笑気味に笑う。

「……全くな…。本来、俺達は人間相手に戦いこそすれ、助けることなどしないんだが」

「野薔薇さんが言ってました。闇人に善人悪人がいるみたいに、人間にだって善い人悪い人がいるって」

「だからなんだ。自分は善人だとでも言いたいのか?」

嘲るように笑い、腕を組む氷河。

小鳥は怒ることもなく、ただ首を横に振った。

「違います。そんなつもりないです。ただ…氷河さん達を……闇人を裏切らない人間でありたいとは思います」


< 432 / 505 >

この作品をシェア

pagetop