EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ
(吸血される…!?)
氷河の胸板を手で押し返そうとして、小鳥はハッと気づいた。
(押し返しちゃ、ダメッ)
氷河は人間を信じていない。
傷つけてやれば小鳥だって闇人を憎むという事実を今、彼女の身体で証明しようとしている。
(受け入れなきゃ…!どんなに酷くされても、私は氷河さんを……闇人を憎まないって、わかってもらわなきゃ!)
決意し、小鳥は微笑む。
自分は大丈夫だ、と。
全てを受け入れる、と。
「っ…!」
牙を埋めようとしていた氷河が小鳥の微笑に気づき、息を呑んだ瞬間。
――ドスッ
氷河の肩にナイフが突き刺さった。
「ぐっ!!」
「氷河さま!」
「氷河さん!?」
痛みによろめく氷河に月那が駆け寄る。
小鳥は解放されるも、心配で氷河から離れずにいると…。
「小鳥!今のうちに逃げよう!」
「あっ!ルカくん!?」
ルカに手を取られ、螺旋階段へ。