EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ


(吸血される…!?)


氷河の胸板を手で押し返そうとして、小鳥はハッと気づいた。


(押し返しちゃ、ダメッ)


氷河は人間を信じていない。

傷つけてやれば小鳥だって闇人を憎むという事実を今、彼女の身体で証明しようとしている。


(受け入れなきゃ…!どんなに酷くされても、私は氷河さんを……闇人を憎まないって、わかってもらわなきゃ!)


決意し、小鳥は微笑む。

自分は大丈夫だ、と。

全てを受け入れる、と。


「っ…!」


牙を埋めようとしていた氷河が小鳥の微笑に気づき、息を呑んだ瞬間。



――ドスッ



氷河の肩にナイフが突き刺さった。


「ぐっ!!」

「氷河さま!」

「氷河さん!?」


痛みによろめく氷河に月那が駆け寄る。

小鳥は解放されるも、心配で氷河から離れずにいると…。


「小鳥!今のうちに逃げよう!」

「あっ!ルカくん!?」

ルカに手を取られ、螺旋階段へ。


< 434 / 505 >

この作品をシェア

pagetop