EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ




「フェオ!!どういうことだよ!!」

二人が消えてからルカがフェオドールの胸倉を掴んだ。

「マドモアゼルから薔薇の香りがした。あれは俺が咲かせた赤薔薇のものだ」

冷静に自分の知る情報を伝えてからフェオドールは弟の手をやんわり離させる。

「それって、前に事故って小動物が嗅いだあれ?フェオさん好き好き状態になった時の」

「……ああ」

カロンに頷いていると、居間に静理が入ってきた。

「フェオ、廊下でこれを拾ったんだけど。君の薔薇だよね?ゴミになるから落とさないように気をつけて」

静理がグシャリと潰してゴミ箱に放ったのは赤薔薇だった。

皆が息を呑むなか、確認するようにフェオドールが尋ねる。

「静理、その薔薇…廊下のどこにあった?」

「え?小鳥ちゃんの部屋の前だけど」

「……そうか」

「親父、これありなのか?」

カロンが隣に腰掛けてきたジェラルドを見下ろす。

「うーん…。まさかこんな七面倒くさい事態になろうとは…。さすが白魔」


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