EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ
さて、一人で着替えてから白魔と共に自分のキッチンへ向かった小鳥。
中ではすでにルカが椅子に座って待っていた。
「ルカくん!」
「小鳥っ」
ルカは椅子から立ち上がると、駆け寄ってきた小鳥の顔を不安げに覗き込んだ。
「ルカくん…ごめんなさい!私っ、ルカくんを選ぶって約束してたのに…こんなことに…!」
「小鳥…?正気に戻ったの?」
「はい!」
いつも通りの小鳥の笑顔にルカがホッと安堵する。
すると。
「小鳥、お腹空いたでしょ?ご飯食べちゃいなよ」
壁に寄り掛かる白魔から声が飛んできた。
白魔がわざわざキッチンを指定した理由は、小鳥に食事をさせるため。
彼のセリフでそれに気づいた小鳥は一言感謝を述べてから支度に取り掛かろうとエプロンを着ける。
「小鳥!」
突然、ルカが小鳥を後ろから抱きしめた。
「ル、ルカくん!?」
「俺とのこと…思い出してくれて良かった」
抱きしめたままそっと手を重ね、小鳥の手に何かを握らせる。
(これは…?)
感触からして紙きれのようだ。
「あの…」
「しーっ。……ひみつ」
白魔に知られたくないのだろう。
耳元で囁くと、ルカは名残惜しそうに小鳥から離れた。
「もういいの?意外と早かったね。ろくに話してもいないしさ」
「いいんだ。ちゃんと伝わっただろうから」
最後にチラリと小鳥を見てルカはキッチンから出て行った。