EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ


 それから食事を済ませた後、小鳥はトイレへ行った。

そこでルカから渡された紙をじっくり見る。

紙にはたった一行。

“三日後、迎えに行く”

とだけ書かれていた。

「ルカくん…」

嬉しさを胸で感じながら紙をクシャリと丸める。

そしてそれをトイレに流した。

下手に持っていて白魔に見つかったら大変だ。


(三日後だね…。待ってるから…ルカくん)


ルカを思いながら白魔の部屋へ。

彼の寝室に入ると、先に戻っていた白魔が大音量でCDをかけていた。

聞きなれない外国語の歌が流れている。

「あ、お帰り。僕のプリマドンナ」

柩に腰掛けて楽譜を見ていた白魔は小鳥に椅子を進めた。

「オペラ、ですか?」

「うん。《Vesti la giubba》。日本語に訳すと《衣装を着けろ》っていうタイトルになるかな」

暗く、物悲しいメロディーが印象的な曲だ。

一度聴き終えた白魔はもう一度同じ曲を再生させた。


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