EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ

「小鳥!」

「ルカくんっ」

扉を開けて部屋の中へ招き入れる。

入るなりルカは小鳥の両肩に手を置いた。

「小鳥、よく聞いて。時間がないんだ」

「なんですか?」

「白魔が帰ってくる前に二人でここを出よう」

「え…?」

「逃げるんだ!白魔から」

ルカの眼差しは真剣だ。

「小鳥は俺を選んでくれたでしょ?だから俺が白魔から君を守るよ」

甘く囁いてから小鳥の顔を覗き込む。


「一緒に来てくれるよね?」


ルカの問いに、小鳥はすぐ首を縦に振ることができなかった。


(白魔さんから、逃げる…?)


帰ってきて自分が消えたと知ったら、白魔はどんな反応をするだろうか。



――小鳥は、どこにも行かないよね?僕を置いて……離れたりしないよね?



(私は…白魔さんを裏切れるの…?)


孤独を嫌い、強い愛情を求める白魔。


(孤独は、知ってる……一人は、怖いの)



――不安なんだ…。君にまで拒絶されてしまったらと…恐ろしくてたまらない



(白魔さんを突き放すなんて…)


できない。

黙っていなくなって、彼の繊細な心を奈落の底に叩き落とすことなど、小鳥にはできない。


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