EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ
「キッチンに案内するよ。こっち」
廊下に出て、ここが建物の二階だったことを知る。
目の前に壁はなく、一階にある正面玄関が見下ろせた。
吹き抜けになっている廊下の手すりに寄り掛かり、一階の玄関ホールや大階段を眺める。
「このお屋敷もクラヴィエ家の…なんですよね?」
「うん。父さんが白魔の母さんのために建てたんだって。だから内装が時代遅れだよなぁ。古臭い」
「とってもステキですよ」
西洋の神々が描かれている天井画を見上げる。
外の人間からホラー屋敷なんて呼ばれていることが残念なくらいこの屋敷は優雅だ。
「小鳥が気に入ったなら良かった。あ、床は抜けないから安心して」
コの字がたをしている廊下の中央へ行き、大階段を下りる。
二人は一階のダイニングに向かった。
「この奥がそうだよ」
広々とした食堂の奥にあるキッチン部屋。
「ずっと使われてなかったけど、この三日間で掃除したから綺麗だと思う。どう?」
流しやコンロは新品のようにピカピカだ。
「大丈夫です。ありがとうございます」
それからテーブルの上に置かれていた食糧を見て、ここでルカとの新生活が始まるのだと改めて実感した小鳥だった。