EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ
「血が俺を呼んでる。ルカ、食堂どこ?」
「逆じゃない?カロンの腹がお腹減ったって騒いでるんだろ。つーかここで食事済ませる気かよ!」
渋い表情で髪を掻き上げながらルカは寝台から降りた。
歩いて扉に向かう様子からして、カロンを食堂へ案内するつもりらしい。
「小鳥も行こう?もう起きて丁度いい時間だし」
「はい」
「なら俺も行こう」
寝台から出た小鳥の後ろにフェオドールが立つ。
こうして一階へ行くことになった四人だが、玄関ホールへ続く大階段を下りている途中で招かざる客と出くわした。
正面玄関からそっと中に入って来た三人の人間。
大学生くらいの男女だ。
「あれ?明かりがついてる。ここって人住んでねーんじゃねーの?」
「おいっ、誰かいんぞ!」
「やーん!イケメン!」
どうやら彼らも、よく肝試しに訪れる連中と同類らしい。
まださほど暗くないが、三人の手にはカメラやライトがしっかり握られている。
「へー。飛んで火に入る夏の虫ってやつ?馬鹿だよな」
カロンがペロリと舌なめずり。
飛び掛かる前の獣の目をしているカロンを見てフェオドールはやれやれと肩を竦めた。
「ルカ。マドモアゼルを頼む」
「…わかった。先に食堂行ってる。行こう小鳥」
ルカに手を引かれ、玄関ホールから遠ざかる。
しかし気になった小鳥は不安げにチラリと振り返った。
カロンとフェオドールの背中が見える。
「狩りの時間だぜ?」
獲物を取り囲んだ捕食者の死刑宣告は小鳥の耳にも鮮明に聞こえた。