EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ
それからその日、ルカは一階のサロンにあるソファーを二階の寝室へ運んだ。
昨日はやむなく小鳥と一緒のベッドで眠ってしまったが、今日は少しでも離れて寝ようという考えだ。
(また幽霊が出て小鳥に何かあったら大変だし、俺も怖いから同じ部屋で寝たいけど…。さすがにすぐ横に小鳥がいるとか……)
健全な男子として、血を求める闇人として、色々大丈夫じゃない自信がある。
「これで…よしっ」
ソファーの上には枕と掛け布団。
「俺、今日からこっちで寝るからさ。ベッドは小鳥が一人でのびのび使って」
「なんか、悪いです…」
「悪くないって!このソファー結構デッカイし。寝心地もなかなかイイ感じ」
『ワルクナイ!サイコー!サイコー!』
小鳥の腕に抱かれていたクマのぬいぐるみがまた手足をパタパタさせた。
どうやら周りの音や人の声に反応して言葉を発するようだ。
「この子、可愛いですね。ちゃんと会話ができてるみたい」
『カワイイー!カワイイー!』
「まさかまだ正常に動いてるなんてな…。カロンのことだから、もうぶっ壊したかと思ってた」
ルカが苦笑し、小鳥がニコニコしていた、その時。
『…ぶっコワスぞゴラァ』
ドスの利いた低い声が愛らしいぬいぐるみから響いた。
「………たまに変なこと言うけど……うん。スルーで」
「…は…はい」
小鳥はそっと枕元にぬいぐるみを置いた。