EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ


 地上の屋敷に来て二度目の就寝時間。

今回は始めからルカが同じ室内にいるせいか、小鳥は目を閉じたらすぐに安心して寝入ることができた。


そして、夢を見た。

不思議な、夢を――。



どこまでも広がる草原。

上向けば、清んだ青空。


(知らない場所…。どこなのかな…?)


ボンヤリしていると、遠くに佇む人影が見えた。


(誰…?)


長い黒髪、薄紫の着物。


(女の、人…?)


一歩足を踏み出してみると、その女性がこちらを見つめてきた。

そして、気づいた時には彼女が小鳥の目の前に立っていた。


「初めまして」


女性の透き通るような、凛とした声が響く。

「は…初めまして…」

挨拶を返しながら小鳥は彼女を観察した。

歳は二十代くらいだろうか。

腰まであるストレートの黒髪に、気の強そうな目鼻立ち。

背筋はしゃんとしていて、どこか高貴な香りを漂わせている。

着物はよく見たら振り袖だ。


(美人な人……)


大和撫子とは彼女のような女性のことだろう。


(あれ…?)


ふと、気づいた。


(この人の顔……どこかで…?)



< 486 / 505 >

この作品をシェア

pagetop