EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ
地上の屋敷に来て二度目の就寝時間。
今回は始めからルカが同じ室内にいるせいか、小鳥は目を閉じたらすぐに安心して寝入ることができた。
そして、夢を見た。
不思議な、夢を――。
どこまでも広がる草原。
上向けば、清んだ青空。
(知らない場所…。どこなのかな…?)
ボンヤリしていると、遠くに佇む人影が見えた。
(誰…?)
長い黒髪、薄紫の着物。
(女の、人…?)
一歩足を踏み出してみると、その女性がこちらを見つめてきた。
そして、気づいた時には彼女が小鳥の目の前に立っていた。
「初めまして」
女性の透き通るような、凛とした声が響く。
「は…初めまして…」
挨拶を返しながら小鳥は彼女を観察した。
歳は二十代くらいだろうか。
腰まであるストレートの黒髪に、気の強そうな目鼻立ち。
背筋はしゃんとしていて、どこか高貴な香りを漂わせている。
着物はよく見たら振り袖だ。
(美人な人……)
大和撫子とは彼女のような女性のことだろう。
(あれ…?)
ふと、気づいた。
(この人の顔……どこかで…?)