EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ

白い顔をジッと見つめて思い出す。

「あっ!昨日の…ゆ、幽霊…!?」

動揺している小鳥の発言を否定することなく、女性はゆっくりと頷いた。

「私は上条小百合。白魔の母です」

「白魔さんの…お母さん…!?」

「貴女に伝えたいことがあります」

驚き呆然となる小鳥に対し、白魔の母親――小百合は告げる。

「早くお逃げなさい。屋敷から出て、奴の手の届かない所へ」

「え…?」

「このままでは、貴女も私の二の舞になってしまう」

「それは……どういう意味ですか…?」

恐る恐る問えば、小百合は悲しげに目を細めた。

「私がどんな人生を送ったか聞かされましたか?」

「……少しだけ」

「ならわかるでしょう?ジェラルドという男は慈悲なき化け物です。祝言が間近だった私を無理矢理地下に連れ去り、閉じ込めた」

明るい月夜にふらりと窓辺にやって来た魅力的な男性。

それがジェラルドだった。

「いきなり家族や恋人と引き離され、暗い世界に独りきり…。気が狂いそうでした。いえ……狂っていたのかもしれない」


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