EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ

噛み付くように吠えてから白魔は小鳥を背中から掻き抱き、その白い首筋に唇を落とした。

「ハァ……大人しく見てなよ、ルカ」

「なっ!やめろ白魔!!」

弟の大声など、兄には届かない。

抵抗できない小鳥を愛おしげに見つめながら、白魔は容赦なく牙を突き立てた。

「っあ…!!」

傷口をえぐられるような感覚が広がり、酷い痛みが小鳥の身体を支配する。


(痛いっ!!助けて…!ルカくん!!)


暴力的に噛み付く白魔に抱かれながらルカへと手を伸ばすも、救いを求めた手は虚空をさ迷って終わった。


(ルカ、くん…?)


痛みに堪えながらルカの方向を見れば、何やら小さな呟きが聞き取れた。


「あっ…小鳥の、血…。甘い、血臭が…ああ…!」


「…ル、カく…?」


何やら様子がおかしい。

不安になって呼び掛けると、ルカの恍惚とした溜息と声が静かな室内に響いた。


「ハァ…小鳥の、血…!」



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