EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ
「死…?」
呆然としたまま、眠っているような小鳥の顔を覗き込む。
「…そう、だ…。俺……我慢、できなくて……小鳥の血の香りが…とっても…」
――美味しそうで
「ぐっ!ゴホッ!ゲホッ!」
急に吐き気を覚えた。
己の浅ましい本性に嫌悪感が押し寄せる。
「彼女の命を吐き出すなよ。奪っておいて、失礼なやつ」
「ああ……あ゙あああっ!!!!!」
悲しみよりも後悔が、苦痛よりも恐怖がルカの心を支配した。
(何がっ、守るだ…!俺は、結局…)
「こんなふうにしか……生きられないんだっ…!」
闇人の――吸血鬼の性(さが)からは逃れられない。
どれだけ足掻こうとも。
「ルカ!マドモアゼル!無事か!?」
バンッと音を立てて寝室の扉が開かれた。
「危険人物来ただろー。ルカとか生きてっかー?」
焦った様子のフェオドールとのんびりとしたカロンが入って来る。
白魔が地上へ向かったことを知り、心配になって駆け付けた二人。
彼らは室内の惨状を目にして顔を強張らせた。
「なにこれ……。小動物…息してない」
小鳥に近づき、カロンが呼吸を確かめる。
「……遅かったか」
フェオドールが悔しげに唇を噛んだ。
「……てっきり白魔に殺されんのはルカだと思ってたんだけど?なんで小動物なわけ?」
苛立った口調のカロンが白魔を睨みつける。
白魔は黙ったままフイと視線をそらした。
「俺が…殺したんだ…。俺っ、が…!」
ポタ、ポタとシーツにこぼれ落ちるルカの涙。