EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ
「小鳥」
「あ、ルカ兄さん」
愛しい少女の部屋に入れば、彼女は机に向かって勉強をしていた。
「もうすぐご飯できるから、キッチンに行こう?」
「うん!」
現在十三歳の小鳥。
彼女は差し出されたルカの手を握り、幼い笑みを浮かべる。
もう、何度この笑顔を見てきただろう。
クローンとして生まれる度に違う兄弟のものになって成長していく彼女を何度見せられたことか。
(やっと、俺の番なんだ)
今回はルカが彼女を独占できる。
この、目の前の少女は命を終えるまでルカのもの。
「小鳥……」
「なに?ルカ兄さん」
「ちょっとだけ……吸わせて」
悲しげな瞳で自分を求めてくる兄に少し驚くも、小鳥は素直に首筋を曝した。
「いいよ。はい」
「……ありがとう」
自分で髪を持ち上げる小鳥を優しく抱きしめる。
首筋に一つ口づけを落とすと、ルカは己の欲望を柔らかい肌に突き刺した。
「うっ……兄さ…!」
「小鳥っ……ルカくんて…呼んで」
「えっ…でも」
「いいから…。今だけ……お願い」
チュッと吸い付きながら弱々しく懇願してくる。
基本、兄に逆らえない小鳥は恥じらいながら囁いた。
「ルカ、くん……」
「っ…!」
瞬間、甘く震えるルカの牙。
それはさらに深く肌に入り込み、小鳥に苦痛を与えた。
牙の痛みを感じながら、小鳥はボンヤリと思う。
(どうしてだろう…。私、この痛みを知ってるような気がする…)
「ルカくん、私ね……この痛みを、知ってるみたいなの」
「そりゃあ……今日が初めてってわけじゃないから…」
「違う…。そうじゃなくて……もっと、遠い昔に……感じたような……」
思い出せそうで思い出せない。
(変なの…これは………なんのデジャ・ビュ…?)
机に置いてあるクマのぬいぐるみがふと視界に入った。
――キケンだよ!キケンだよ!
そんな声が聞こえたような気がした。
【狂愛編 END】