EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ

「特別な用なんてないさ。ただ君と、怠惰なひと時を楽しみたいだけ」


(怠惰なひと時?)


それは一体どんなひと時なのかと疑問に思っていると、白魔が笑顔で喋り出した。

「君と一緒にオペラを見たいな。何がいい?僕は悲劇が大好きなんだよ。特にプリマドンナが死んで終わるのが好み」

「オペラ…?」

唐突にオペラを語られ、小鳥の目が点になる。

そんな彼女の瞳を、白魔は不思議そうに覗き込んだ。


「君、もしかしてオペラを知らない?」

「オペラは知ってますけど、見たことがなくて…」

「ふーん。そうなんだ。なら一緒に見よう。僕がオペラの面白さを教えてあげる。こっちへおいで」

手招きされて席を立つ。

白魔は小鳥を出入口とは別のドアへ誘(いざな)い、その中へ連れ込んだ。




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