EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ
「カルメンは恋多き美女でね。ドン・ホセという真面目な堅物を誘惑して自分の虜にさせるんだ。けど、カルメンは他人に縛られない自由な女性。ドン・ホセに飽きて闘牛士のエスカミーリョと恋仲になる」
白魔の解説を聞きながらスクリーンを見る。
「恋に生きるカルメンと初(うぶ)で堅物なドン・ホセ。フフッ、上手くいくわけがないよね」
一幕で流れるハバネラ独特のリズムに合わせて、どこか見下したように恋の歌を歌うプリマドンナ。
「知ってる?カルメンは“恋は小鳥のよう”って歌うんだよ」
「小鳥…?」
「そう。言うことをきかない小鳥。捕まえたと思ったら小鳥は羽ばたき逃げていく。逃がしたと思ったら、また腕の中」
そう囁いて白魔は隣に座る小鳥を抱き寄せた。