EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ

「カルメンは恋多き美女でね。ドン・ホセという真面目な堅物を誘惑して自分の虜にさせるんだ。けど、カルメンは他人に縛られない自由な女性。ドン・ホセに飽きて闘牛士のエスカミーリョと恋仲になる」


白魔の解説を聞きながらスクリーンを見る。

「恋に生きるカルメンと初(うぶ)で堅物なドン・ホセ。フフッ、上手くいくわけがないよね」


一幕で流れるハバネラ独特のリズムに合わせて、どこか見下したように恋の歌を歌うプリマドンナ。


「知ってる?カルメンは“恋は小鳥のよう”って歌うんだよ」

「小鳥…?」

「そう。言うことをきかない小鳥。捕まえたと思ったら小鳥は羽ばたき逃げていく。逃がしたと思ったら、また腕の中」

そう囁いて白魔は隣に座る小鳥を抱き寄せた。


< 63 / 505 >

この作品をシェア

pagetop