EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ
「間に合わないし、面倒だった」
「まあ、確かにね」
頷いたものの、静理は微笑みながら非難がましく言った。
「でもだからって見て見ぬ振りだなんて…。フェオは冷淡だね」
「……人間嫌いのお前に言われたくない」
「フフ、言われてしまったね」
胡散臭い静理の笑みを横目にフェオドールは椅子から立ち上がった。
そのままドアへ向かう彼を静理が呼び止める。
「どこへ?」
「出掛ける」
「仕事サボって、また例の吹き溜まりに?白魔から軽蔑されるよ?」
「構わない。今に始まったことじゃないから」
それだけ言って出て行こうとしたフェオドールだったが、ふと思い出した。
「ああ、そうだ。白魔がマドモアゼルに例の薬を飲ませてた」
「例の薬って……まさかオーレリアンが調合した、アレ…?」
「そう。あと数時間は薬が抜けないだろう」
言い終わるとフェオドールは今度こそ部屋を後にした。