EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ
「悪いけど、やめられない――」
次の瞬間、赤い瞳の吸血鬼が太ももに噛み付いた。
恐怖に震える小鳥の身体が静理に抱え込まれる。
逃げることはできない。
せめてもの抵抗に小鳥は捕食者の髪を掴んだ。
ゴクンと血を飲み下しながら静理は笑う。
「フフ…可哀相な人間」
憎悪を押し込むようにグリグリと牙を捩込み、啜る勢いを強くする。
すると、静理の髪を掴んでいた小鳥の手がパタリと落ちた。
「おや?意識を飛ばしてしまったのか…」
そっと牙を抜く。
「泣いていたのかい…?」
小鳥の頬には涙の跡。
少しの間、彼は目尻が赤くなった小鳥の寝顔を見つめていた。
が、唐突に棺桶から自分の毛布を取り出し、それで彼女の身体を包み込んだ。
「………人間なんて…大嫌いだよ」