EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ

そう言うと、静理はエレベーターを囲っている門に手を伸ばし、その窪みに薔薇の指輪を押し付けた。


(あれ?あの指輪…封筒に入ってたのと似てる)


静理のは黄色だが、形はまるっきり同じだ。

門が開かれ、エレベーターへ乗り込んでから小鳥は口を開いた。

「その指輪…」

「ああ、これはカギみたいなものだよ。この指輪がないとエレベーターは作動しないようになってるんだ」

みんな乗ったことを確認してから静理がドアを閉める。

エレベーターが動き出した。

「あの…似たようなのを私も持ってます。お母さんから届いた手紙と一緒に入ってました」

言ってみたら全員が驚いた表情をした。

ルカが目を細めて問う。

「本当に!?色は?」

「ピンクです」


素直に答えると、静理が難しい顔をして呟いた。

「ピンクか…。ジェラルドは何を考えているんだろう…」


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