EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ

「ジェラルド…?」

聞き覚えのない名前に首を傾げると、擦り寄ってきた白魔が教えてくれた。

「僕らの父上の名前だよ。父上は新しい兄弟には必ず薔薇の指輪をくれるんだ。だからその指輪はみんな持ってる。僕は紫さ」

そう言ってポケットから指輪を取り出して見せる白魔の横で、ルカが他の兄弟達の色を言った。

「俺がオレンジで、フェオが青。カロンは赤だっけ?」

「そ。オーレリアンは白だった」

「僕の情報を勝手に流すなっ」


彼らの会話を耳にしながら、小鳥は部屋に置いてきた自分の指輪を思い出した。


(ようするに、あの指輪は玄関のカギだったんだね)


小鳥を家族として迎えるゆえ、彼らの父親は玄関に等しいエレベーターのカギを小鳥に送ってくれたのだろう。



「着いたよ」

静かにエレベーターが止まり、静理がドアを開けた。



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