精一杯の背伸びを
第2章
瞳
「ちょっと、小春?」
朔ちゃんに呼ばれ、はっとした。
「えっ。ごめん。何?」
ファイルを見ているうちに、ぼんやりしていたようだ。
「何って。榊田を叱るのは小春の役割でしょ!」
朔ちゃんが榊田君を指差した。
「また、何かした?」
私は苦笑しながら朔ちゃんに聞く。
「何かしたって。あんた、どこまでぼんやりしてるの?今あったじゃない。何にも聞いてなかったの?」
「ごめん。ちょっと考えごとを」
何も考えてなかったけど、そう言ってごまかす。