精一杯の背伸びを
買いかぶり
行きつけのファミリーレストランに入る。
榊田君は早めの夕食を取るつもりらしい。
私は話を聞いたら、すぐに帰るつもりだからドリンクバーだけ頼んだ。
「手短にお願い」
「わかった。明日から三泊四日でスキーに行くから。今日中に準備しておけ。朝迎えに行く」
私は訝しげに榊田君を見る。
「どういうこと?話が見えない」
「金のことなら心配するな。上原がサークルで使った学生向けのホテルがだから」
榊田君はわざと、的外れなことを言っている。
それがわかって、深く息をした。
榊田君のペースに巻き込まれるわけにはいかない。
先月、朔ちゃんが一泊のスキー旅行に行ってきた話は聞いた。
吹雪で何のために行ったのか。
そう憤慨していた。
なんとなく記憶にある。