精一杯の背伸びを






「そんな話、私聞いてない」




「だから今話してる」




 即座に切り返される。




「悪いけど私は行かない」




 私も間髪入れず切り返す。




「お前の分も予約した。部屋が運良く取れてな」




 私の話をまったく聞いてない。




「行かない」




「お前の分の代金、俺が立て替えてるんだ」




「勝手に榊田君がしたことでしょ?私は承諾してない。一体、いつ決まったのよ?」




「上原が帰って来てから、すぐに申し込ませたから、一ヶ月近く前だな」




 平然とそんなことを言う。


 一ヶ月前?




「いきなり明日って言われて、私が頷くとでも思うの?」




「今日だろうが一ヶ月前だろうが、お前は頷かないだろ?」




 だから勝手に申し込んだ?


 そんなの理由にならない。


< 129 / 233 >

この作品をシェア

pagetop