精一杯の背伸びを





「そんな私が行っても、楽しくないでしょ?だから行かないし、行きたくない」




 ここまで言えば、もう相手にしないだろう。


 きっと友達としても、必要ないだろう。


 それでも、行きたくない。


 一人でいたい。


 何もかもが煩わしい。


 しかし、榊田君の返答は違った。




「却下だ。不愉快な思いをさせないように努めろ」




「何で、そこまでして私を連れて行こうとするの?四人で良いじゃない?」




「お前を連れて行かなかったら、俺があいつらに文句言われるんだぞ?それに女が寄って来たら、せっかくのスキーが台無しだしな」




「どっちも榊田君の都合じゃない」




「お前な。いい加減にしろ」




 榊田君は落ち着いているけど、明らかに苛立っている。


 何で私が怒られないといけないのだろうか。


 理不尽なことを言われているのは私だ。


 腹が立つ。


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