精一杯の背伸びを
広君も含め、三人は上級者コースを滑りに行った。
あと一時間ほどでホテルに戻ることになっている。
ここで切り上げて、休んでいることにした。
小夜ちゃんと二人、休憩場で温かいものを飲んでいると、広君が戻ってきた。
「ずいぶん早いね。二人は?」
小夜ちゃんは、力ない声で尋ねた。
相当、疲れているようだ。
「俊と朔について行った、俺が間違ってた」
首を横に振り、お茶を飲む。
「二人はレベル高すぎ。ついていけなくて当然だよ」
落ち込んでいる広君を慰める。
上級者コースを滑れる人間なんてそう多くはいない。
「そうじゃなくて。あいつらが女の子を俺から取り上げるんだ!!」
演技かかった悲鳴を広君はあげた。
そういえば彼女と別れたとか。