精一杯の背伸びを
小夜ちゃんは口元を綻ばせた。
「やっぱり女の子が寄ってくるんだ」
「俊はいつものことだけど。朔にまで。もう明日からは一緒に滑るもんか!」
憤然と言う広君に私と小夜ちゃんは目配せして笑う。
「朔ちゃんの滑りは男の子と思われても仕方がないね。格好良すぎる」
一般コースで滑る姿を見たが、二人が注目を集めて当然だ。
まさか、ここまで滑れるとは私も驚いた。
それから間もなく、二人一緒に戻ってきた。
二人ともひどく不機嫌だ。
「あ~榊田と一緒にいるとロクなことがない」
肩をすくめる朔ちゃんに、小夜ちゃんは笑いながら応じる。