精一杯の背伸びを





 初日の晴天は次の日の午前まで続いた。


 午後は分厚い雲に覆われる。


 経験から夜には結構な雪が降ると判断する。


 昼ご飯の後、朔ちゃんと広君が小夜ちゃんに教えるということで、私はその任を解かれた。


 きっと、これは榊田君と仲直りさせるための算段だと見当はついた。


 三人と別れ、見えなくなったところで榊田君とも別れた。


 榊田君が私をじっと見ていたけど視線を合わせない。


 関わりたくない。


 一人でいたい。


 そう思いながら歩いていたら。

 
 榊田君はいつの間にか消えていた。












 一人になり、肩の力が抜ける。


 リフトで上がり、辺りを眺める。


 雪に覆われた山々が見えるだけ。


 そして、ただ、ぼっーと眺めてたはずなのに。


 いつの間にかキャンプ場はどこだろうと探している自分がいた。


 見つかるわけがないのに。


 探したったってどうしようもないのに。





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