精一杯の背伸びを

崩壊














 目をゆっくり開ける。


 ぼんやりとしながら。


 仁くんはどこだろう?


 彼の名前を呟く。


 頭が痛い。


 そこで、視界に誰かの腕を捉え、視線を上に動かした。



「小春ちゃん!」



 小夜ちゃんが心配そうな顔をして私を覗き込んでいた。


 重たい体を起こし、覚醒しきらない頭で考える。


 私はパジャマ姿で布団に寝ていた。


 次第に視界も頭もはっきりしてくる。


 散歩して寝たこと。


 そして昔の夢を見ていたことを。


 仁くんがいるはずがない。


 夢だったのだ。


 身体から力が抜け、俯いた。




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