精一杯の背伸びを
「なら、蹴り飛ばして構わないから早く出てってくれない?」
私の声も榊田君に負けず劣らず冷ややかだった。
その返答に空気がぴんと張り詰める。
榊田君の身にまとう空気がより冷ややかになる。
朔ちゃんと小夜ちゃんが息を呑んだ。
「お前。自分が何してるか、わかってるか?」
低く、怒りを押さえ込んだ声だった。
「別にただ散歩してたら、疲れたから少し寝ただけよ」
私は榊田君の顔を見ずに、なげやりに言う。
「馬鹿が。あんなところで寝て、死にたいのか!」
榊田君が声を荒げる。
うるさい。
「だから、少し寝てただけでしょ?いちいちうるさいのよ。ほっといてくれない?」
私は素っ気無く返す。
榊田君が怒っている意味がわからない。
無理やり連れてきたのは榊田君だ。