精一杯の背伸びを










 はっと、目を覚ます。


 辺りは真っ暗だった。


 携帯の電源を入れて時間を確認すると、深夜の一時だった。


 夕方まで確かに起きていたが、それから今まで、ずっと寝ていたらしい。


 明らかに寝過ぎだ。


  ただ、そのおかげで熱は下がった。


 寝過ぎと筋肉痛で体がところどころ痛いけど。


 朔ちゃんと小夜ちゃんは隣の部屋で寝ていた。


 私は静かにお風呂の仕度をして部屋を出た。


 さすがに二日お風呂に入らないでいると気持ち悪い。


 スキーをしたのに入っていないのだからなおさら。


 明日でこの旅行も終わる。


 私はそのまま実家に戻ることになっている。


 午前は、みんなはスキーをしてから帰るのだろうが、私は参加するつもりはない。


 風邪がぶり返す心配はない。


 健康が取り柄だから。


 私がいたら、みんなが楽しめない。


 もう淡々と笑うことはできない。


 何でもないふりはできない。



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