精一杯の背伸びを
「雪の中で寝てるお前を助けて良かったのか、それとも雪の中に埋めたほうが親切だったか?」
彼の言いたいことがわかった。
「もちろん、助けてくれて感謝してます」
「それなら?」
榊田君は促す。
「ありがとう。今回のことだけじゃない、いつも本当にありがとう」
榊田君はこれ見よがしにため息を吐いた。
「で、一体、今度は何があった?仁と仲直りできなかったのか?」
視界が急に狭くなるような感覚に襲われる。
心が疼く。
「うん」
弱弱しい声で頷く。
「だから、そんなに崇拝してんな、って俺は忠告したんだ。何でも仁だから、ずたぼろになって、挙句の果てに自殺行為」
榊田君は眉根をぎゅっと寄せる。
「変なこと言わないでよ。別に自殺しようなんて思ってない!」
ただ本当に少し休憩をしようとしただけで。