精一杯の背伸びを
「あんなところで寝るのは自殺だ。あ、お前の場合は崇拝心と心中だな」
なげやりになっていたのは認める。
だけど、普通に過ごしていた。
「私、最近そんなにおかしかった?」
榊田君は信じられないものを見るような目付きで私を見る。
「死んだ魚でももっと生き生きとしてるっていう目だった」
死んだ魚よりひどい目?
「あれは、そうだ。焼き魚みたいな目だ」
「榊田君。上手いこと言うね」
私は彼の冗談に苦笑した。
しかし榊田君はそれには何も言わずに続けた。
「お前は、周りの人間を風景の一部としてしか見ていなかった。俺に対しても。目に何にも映してない、死人と同じだった。違うか?」
落ち着き、澱みなく榊田君は言った。
「私は上手く振舞えてると思ってた」
ぽつりと言う。
「死人の演技もいい加減飽きた。とりあえず、死人が生き返える瞬間は見ものだった」
もしかして。
「わざと、私を怒らせた?」
「あれはお前が勝手に怒っただけ。まぁ。仁のこと引き合いに出せば怒るのは予想できたけど」
私は強く拳を握り、唇を噛んだ。