精一杯の背伸びを





「うん」



 私は、深く深く頷いた。



「うん。仁くんが大好き」



 涙がまたこぼれた。



「……そうか。とりあえず今はゆっくり休め。今までひたすら走ってきたんだろ?なら少しくらい休んでも罰は当たらない」



「うん」



 私は息を吐きながら、また頷く。



「休んでどうするか考えろ。死人の選択以外をな」



「そうだね」



 諦められない。


 前に進む選択をしなければいけない。


 今は、どうすればいいかわからないけど自分なりの答えを探そう。


 下車する駅がアナウンスされ、慌ててもう一度涙を拭く。


 そうして冷え切った駅のホームへと降りた。


 涙がつたった頬だけが、ひどく冷たく感じられた。



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