精一杯の背伸びを
その答えに満足したように、お母さんは口に弧を描いた。
「そう、それなら良いわ。俊君、この馬鹿娘よろしくね?迷惑かけるだろうけど」
お母さんは榊田君にお茶のおかわりを注ぐ。
「もう水野の馬鹿さ加減には慣れましたから」
榊田君は何の躊躇いもなく、そんなことを言う。
もう、馬鹿でも構わない。
仁くんの傍にいられるなら、馬鹿で構わない。
「お父さん。ありがとう。でも大丈夫だから」
感謝の気持ちが少しでも伝わって欲しい。
お父さんは何とも言えない表情をして、お茶をすすった。