精一杯の背伸びを
それから、すぐにお父さんが帰ってきた。
私の部屋をノックしたが、私は返事をしなかった。
布団に潜りこみ、身を丸くしていた。
震えはもうない。
ただ、どうしよう。
その言葉だけが頭の中で響いた。
もう時間はない。
せっかく、これからどうするべきかを考え始めたのに。
せっかく向き合おうと思ったのに。
その途端に現実が私の目の前に現れた。
私が逃げている間も現実は容赦なく近づいていた。
私が目を開けた瞬間、飛び込んできた。
現実とは意地が悪い。
もう逃げることはできない。
一階では、楽しそうな声が聞こえてくる。
榊田君も仁くんが来た時に、一階に戻っていった。
私はその輪には入れない。