精一杯の背伸びを






「そんな風に、俊君に見つめられると照れちゃうわ!もう、二人して聞き違いなんて仲が良いわね」




 清らかに微笑むお母さん。


 もう、お手上げだ。


 誰もがお母さんに対抗することができない。


 おそらく、束になっても。


 この状況もどうすることもできない。


 少なくても良い方向にもっていくことは。








「小春。焼き魚好きだろ?」




 なんとか、話すきっかけを掴みたいと彼は思ってか、私のお皿にのせた。




「まったく。仁君は小春に甘いんだから。私にも、甘くして欲しいわ」




 お母さんは苦笑しながら私のお皿に目をやった。




< 209 / 233 >

この作品をシェア

pagetop