精一杯の背伸びを
「そんな風に、俊君に見つめられると照れちゃうわ!もう、二人して聞き違いなんて仲が良いわね」
清らかに微笑むお母さん。
もう、お手上げだ。
誰もがお母さんに対抗することができない。
おそらく、束になっても。
この状況もどうすることもできない。
少なくても良い方向にもっていくことは。
「小春。焼き魚好きだろ?」
なんとか、話すきっかけを掴みたいと彼は思ってか、私のお皿にのせた。
「まったく。仁君は小春に甘いんだから。私にも、甘くして欲しいわ」
お母さんは苦笑しながら私のお皿に目をやった。