精一杯の背伸びを






「小春。いい加減にしなさい。あんたは一体何を考えているの?」




 お母さんの冷ややかな声が耳に入るが、彼を睨みつけたまま私は言った。


 狂ったように。




「仁くんが幸せになるなら、私が幸せにならないなんて、おかしいじゃない!?ずっと、何でも一緒だったのに。ずるいじゃない!!」




 不公平だ。


 彼が幸せなら私も幸せ。


 そう思っていたのに。


 不公平だ。


 何で、こんなに苦しまないといけないのよ。




「小春。仁君は家族よ。家族のお祝いの席での分別さえもわからないの?」




「家族じゃない!ただのお隣さんだっただけでしょ!?」




 榊田君に手首を掴まれ、引きずられそうになる。


 よろけながらも、その手をがむしゃらに振りほどいて、叫んだ。



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