精一杯の背伸びを






 自分の部屋のドアを勢い良く閉める。


 途端にネジがきれたように、力が抜けへたりこんだ。


 もうダメだ。


 そう思った。


 私は仁くんが好きだ。


 彼といるとドキドキする。


 胸が苦しくなるのに、幸せで。


 泣きたくなるほど幸せで。


 でも。


 彼は違う。


 私が彼を想うように。


 彼が私にひたむきな情熱を向けてくれることはない。


 これから先。


 ずっと、そんな日は来ない。


 そう思った。


 悟った。



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