精一杯の背伸びを
いつかきっと
暑さで目を覚ます。
電気毛布のスイッチを強にしたまま寝ていた。
旅行から、泣いては眠っての繰り返しだ。
泣いてばかりで、昔の私に逆戻りしている。
逆戻りというよりは、昔から成長してないのかもしれない。
外見だけは成長したけど、内面は幼いまま。
本質は変わることがない。
暑いし、のどが渇いた。
部屋の冷気が心地良い。
もっと冷気を取り込もうと窓を開ける。
雪はすっかりやんでいる。
飲み物を買うついでに散歩でもしよう。
時計を確認すると十二時近い。
まだ、みんな起きているようだ。
顔を合わせたくない。
防寒具を身につけて、音を立てずに階段を下りる。
「小春さん?」
上から声をかけられて振り向くと佳苗さんが佇んでいた。
もう気づかれたなら、構う必要もない。
階段を駆け下り、玄関で運動靴を履き、飛び出した。
坂を上ったところで足を止めた。
大きく伸びをして、空を見上げる。
夜とは思えないほど明るい。