精一杯の背伸びを
「あの!お話があるんです。お願いします。少しだけ時間もらえませんか?少しだけ足を止めてください。そうしたらすぐに退散します。お願いします」
私は、欄干に肘をつき、下を見渡した。
川は雪で覆われている。
静かで、吹き抜ける風の音が良く聞こえる。
「ありがとうございます!」
佳苗さんには背を向けたままだったが、これが私の精一杯だ。
「手短にお願いします」
私は体勢をそのままに、ただ橋の下の川を眺めていた。
「あ、あの。私と姉妹になっていただけませんか?私、一人っ子で妹に憧れていて、小春さんみたいな妹さんが欲しくてですね。仲良しな姉妹を見ていると羨ましくて」
姉妹?
どこまで私を馬鹿にすれば気が済むのだろうか?
本当に無神経だ。
乱暴に遮る。
「お断りします。もう良いですか?」
早く、消えて欲しい。