精一杯の背伸びを
「ご、ごめんなさい。気を悪くされましたよね。無神経ですよね。わかってるんです。無理なお願いだって。言いたかったことはこれじゃなくて。あっ!もちろんこのことも言いたかったんですけど、違うことも言いたくて」
しどろもどろ、要領を得ない話し方をする。
「えっと、仁はいつも小春さんのこと褒めてました。美人で、料理も運動も勉強もできて、しっかり者で、明るくて。実際会ったら本当に素敵な人で」
「何が言いたいんですか?」
そんな話を今聞いても惨めなだけだ。
何で、仁くんはこの人を選んだのだろう。
「だ、だから。私みたいなのが仁と付き合ってたら、頭にくると思います。私も何で、仁が私と付き合ってくれているのか、さっぱりなんです」
「何が言いたいんですか?」
私は再度、吐き捨てるように言う。
この人はいつも私の質問に答えない。
おどおどして、要領が得なくて。
何で、この人なのかわからない。