精一杯の背伸びを
「小春は友達と会うのか?」
「うん。結構、帰省して来てるらしいの」
「俺も飲みに行く予定だ。しかし、さっき聞いたんだが妻子持ちの多いこと。一気に歳を取った気分だ」
彼は大げさにため息を吐いた。
「今年で二十六歳でしょ?別に不思議はないじゃない?結婚早い地域だし」
「まぁな。ただおじさんって呼ばれると思うとな」
「大丈夫。仁くんはお兄さんで通るよ。すごく格好良いもん!」
私が力説すると、ちらりと私を一瞥した。
「おだてたって、何もでないぞ」
やっぱりお見通しか…
でも、彼は私の願いを叶えてくれる。
そこまで私はお見通しだ。
「一日だけ予定空けて、私とデートして」
彼の左腕を両手でぶんぶん揺り動かす。
彼はいささか拍子抜けしたような顔をして
「何だ、そんなことか。それなら良いぞ。明日はお盆だから、明後日はどうだ?」
「もちろん!絶対に予定入れないでね。楽しみにしてるから」
彼を見上げ、微笑んだ。
空は雲一つない。
今日も暑くなりそうだ。