精一杯の背伸びを
好き。
結局、上擦った声だったけど気持ちはしっかり伝えた。
彼はそれに対して何も言わなかった。
そして彼は笑みを浮かべたまま、ぽんぽんと軽く私の頭を叩き、再び「帰ろう」と言って、私の手を掴んだ。
放心状態の私は、引きずられるように帰った。
おそらく。
この辺りの記憶が定かではない。
ただ淡い光に照らされた、繋いだ手とその温もり、それだけが記憶に残っている。
そのまま別れて、七年が経つ。
そしてようやく彼に会える日が来た。
彼に会って、もう一度気持ちを伝えて、今度こそしっかりとした返事が聞きたい。
あの頃の幼い私とは違う。
うやむやになんかさせたりしない。
私は未だにあの時の憤りが忘れられないでいる。