精一杯の背伸びを
「宿泊施設なんだけど、日帰りで温泉にはいれるんだよ!」
「それは名案ね。仮眠室も食事どころもあるし。夜は温泉でのんびりで決まり」
私とお母さんが賛成して、明日の予定は決まった。
里帰り前の私なら二人でのデートを間違いなくしていた。
家族そろって出かけるなんて選択しなかった。
でも、昨日の寛太の発言に、料理だけではなく、空手も見て欲しいと思った。
もう泣いて甘えている小さい私ではないことを。
数日彼と過ごしていると、今までと同じで、でも私を女性として扱ってくれて。
それだけでなく、私が彼を必要としているように、同じ時を過ごすことが当たり前の幸せに感じるように。
仁くんも私が隣にいることに心地良さを感じているのは手に取るようにわかる。
七年離れていても、やっぱりお互いのことがわかる。
ちゃんと気持ちが繋がっていると実感できた。