精一杯の背伸びを
『連絡くらいしておきな。榊田の不機嫌が増すから』
『わかった。そうする』
もとから榊田君には連絡するつもりだったけど。
このお盆の数日間の話をすぐにでも聞いて欲しくて仕方がない。
仁くんのことは榊田君にしか話していないから、彼が私の最高の相談役だ。
電話を切って、すぐに榊田君にメールを送った。
ちょっと長電話し過ぎたと、ぱたぱたスリッパを響かせ、台所に行くと一足先にお母さんが準備に取り掛かっていた。
「手伝うよ」
お母さんに声をかける。
「なら野菜切って」
「あっ、これね」
「そう、明日野菜とか持っていくでしょ?」
「え~重たいから送ってよ」
アパートまで少し距離があるから重い荷物は避けたい。
「なら明日にでも自分で詰めなさい。あんた送るついでに運送屋に寄るから」
「わかった。ありがとう」