精一杯の背伸びを
来週までだからギリギリ平気だ。
これなら、仁くんも眠らない。
喜ぶだろうな。
そう思っていたのに。
全部、水の泡。
もう次に会う頃には、展覧会は終わっている。
今度は彼も楽しんでくれると思ったのに。
不満はどんどん積もる。
ベッドに倒れこみ、クッションを蹴飛ばす。
アルバイト、誰か変わってくれないかな。
何か予定を入れないと、会えるのではないかと期待してしまうから。
結局、仁くんとの約束が抜けた穴を埋め合わせてくれたのはアルバイトではなかった。
お馴染みなメンバーでの鍋会だ。
これは日ごろの私の行ないが良いからだろうか?
とにかく、感謝したい。
特に、発案者の広君には。
今回の広君の企画には榊田君も朔ちゃんも賛成した。
「まぁ。十二月だし、安上がりだし、広也があずきの良い鍋敷き持ってるし、名案だ」
そう榊田君がうんうんと賛成の意を表した。
「お前は来なくて良いから」
広君は榊田君を睨みつけた。
とにかく、そんなこんなで急遽決まったのだ。