精一杯の背伸びを



 
 
 それぐらいに成長した。

 
 彼らの言葉を借りると違う人間になった。


彼と一緒にいたい。

 
 そんな理由で彼の練習を眺めることを目的としていた空手に熱心に打ち込み、私をいじめていた悪ガキを撃退した。

 
 いや、撃退というよりは彼がいなくなったことへの半ばやつあたりであった。

 
 そして、好き嫌いをせずに何でも食べるようになったおかげか、身長もぐんぐん伸びた。


 それに比例して、空手を初めとする身体能力もぐんぐん伸びた。

 
 勉強も料理もとにかく何でもできるようになるため、日々の時間を費やした。


 そして、苗字の水野からか。


 ただ泣いた時の姿からか。


 『鼻水小春』の異名を持っていた私が、高校に入る頃には、『ミス小春』の称号を獲得した。


 もちろん、それに驕ることなく生徒会で指揮を執り勉強も怠らず主席をキープしつつも、部活も美の追求も怠ることはしなかった。

 
 そして高校を卒業する頃には山に覆われた田舎というのも手伝ってか、『巷で評判のお嬢さん』になり、『ミス小春』を不動のものにした。

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