精一杯の背伸びを
天地
翌日、大学があったけど行く気力はなかった。
授業が一緒の朔ちゃんと友達に風邪をひいたとメールを送る。
仁くんからも連絡があった。
一応、メールで大丈夫、と送っておいた。
彼の体調を気遣うことをしなかったのは、今はメールでさえも辛いからだ。
今は仁くんとの連絡を絶ちたかった。
一通りメールを送ると、携帯の電源を切った。
今週は冬休み前最後の講義だから出席したほうが良いのはわかっていた。
それでも行く気はしない。
仁くんのことが頭から離れず、結局、最後の日まで三日間大学を休んだ。
ずっと浅い眠りを繰り返しながら夢と現実の区別がつかなくなる生活をした。
四日目になるとコンビニで大量に買った、カップ麺もお菓子も底をつきる寸前だ。
どうせ明日はアルバイトだ。
篭城も今日まで。
明日は何事もないように笑えるのだろうか?
日が落ちた頃、ドアを叩く音で目を覚ました。
チャイムで応答がなく叩いているのだろうか?
今は誰にも会いたくない。
居留守を決め込んだ。
しかし、だんだんと叩く音が大きくなる。
借金の取立てさながらだ。
仕方なく、のろのろ部屋のドアを開けると。
借金取りの正体が榊田君だとわかった。